本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

ガードナーの新・数学娯楽

『ガードナーの新・数学娯楽』(マーティン・ガードナー/岩沢宏和,上原隆平監訳)<日本評論社> 読了。

数学ゲーム全集の第三巻。
なかなか出版されなくてやきもきしていたが、ちゃんと出版されて良かった。
今後どれくらいの周期で出版されていくのだろうか……。

以下、ざっと内容をご紹介。

・2進法
 2進法を使った読心術

群論と組みひも
 組みひもをいかにほどくか

・パズル8題
 鈍角三角形を鋭角三角形に分割せよ

ルイス・キャロルのゲームとパズル
 APEをMANに進化させよ

紙切り
 多角形を切って別の多角形をつくる

ボードゲーム
 チェスに飽き足らなくなった人たち

・球を詰め込む
 どのように詰め込むと一番効率がいいのか分かっていない

超越数π
 πはランダムか

・数学奇術家ビクトル・アイゲン
 タネのない数理マジック

・4色定理
 証明方法も進歩している、でもコンピュータ

・アポリナックス氏ニューヨークを訪問
 未来の出来事をいかに予言するか

・パズル9題
 あやふやな情報から優勝校が分かる

ポリオミノと断層線なし長方形
 ポリオミノで可能な図形、不可能な図形

オイラー潰し
 オイラーも間違えた予想

・楕円
 円を使って楕円を描く

・24枚の色つき正方形と30個の色つきキューブ
 色を合わせてキューブをつくる

・H・S・M・コクセター
 正確なキスの公式

・ブリジットとその他のゲーム
 ブリジットの必勝法

・パズルもう9題
 カントはどうやって時計を合わせたか

・差分法
 学校で習わない便利なテクニック

村のエトランジェ

『村のエトランジェ』(小沼丹) <講談社文芸文庫> 読了。

初期の作品集のため、様々な文体で表されているが、ほとんどどの作品も面白く読めた。
特に「紅い花」「白孔雀のいるホテル」「村のエトランジェ」は傑作。

小沼丹(おぬまたん)はいわゆる第三の新人に属する作家で、今ではほとんど忘れられているようだが(私も紹介いただくまで知らなかった)、これほどの作品を書く作家が忘れられるなんてもったい。

第三の新人の作風があまり派手でないためか、どうしても埋もれてしまう傾向があるように思う。本当につくづく残念だ。

どうも私は第三の新人と相性がいいようで、これまで小島信夫庄野潤三と、興味深い作家を紹介いただいた。
小沼丹もこれからも読んでみようと思う。
あと、吉行淳之介も何か読みたいと思っている。

 

<収録作品>

紅い花

汽船

バルセロナの書盗

白い機影

登仙譚

白孔雀のいるホテル

ニコデモ

村のエトランジェ

太宰治全集5

太宰治全集5』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。

太宰治と言うと、何だか暗い作風を思ってしまうが、暗いというよりむしろいじけたような作品が多い。

しかし、全集五巻では、「正義と微笑」のような未来への希望溢れる作品や、「黄村先生言行録」「花吹雪」「不審庵」のようなユーモア溢れる作品が収録されており、太宰治のイメージが一変される。

不勉強なため知らない作品ばかりだが、いろんなタイプの太宰治作品を読みたい方にはこの五巻がおすすめ。
傑作も多い。

 

<収録作品>

新郎
十二月八日
律子と貞子
待つ
水仙
正義と微笑
小さいアルバム
花火
帰去来
故郷
禁酒の心
黄村先生言行録
花吹雪
不審庵

 

最後の命

『最後の命』(中村文則) <講談社文庫> 読了。

少年期に秘密基地近くで親友と共有したある事件。
それが成長する二人を引き離し、また引きつける。

少年期の友達という、ほのかに漂う甘酸っぱさが何ともいえない感情を引き起こす。

これまでの作品から引き継がれる深いテーマとは別に、そんな要素も感じることができた。
デビュー作『銃』のようなシンプルで強烈な作品もいいが、このような複雑性を持った作品も面白く読める。

何度も同じようなことを書いてしまうが、これが五作目の作品とはすごい!

太宰治全集4』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。

「新ハムレット」はシェイクスピアの「ハムレット」に題材を取った意欲作だが、やはり元が有名過ぎるし良過ぎるので、相当な違和感があった。
ちょっと太宰治には荷が重かったかな。
それでも、最後の事件から真相を想像させる手法はなかなか楽しめた。

その他の作品はどれも面白く読めたが、特に「風の便り」は印象深い作品。
太宰治の中にも井原退蔵のような人物像があるんだ、と驚かされた。

 

<収録作品>

・きりぎりす
・ろまん燈籠
・東京八景
・みみずく通信
佐渡
・清貧譚
・服装に就いて
・令嬢アユ
・千代女
・新ハムレット
・風の便り
・誰
・恥

光車よ、まわれ!

『光車よ、まわれ!』(天沢退二郎) <ブッキング> 読了。

子供向けのファンタジー長編ですが、大人でも十分楽しめる。

一体何が起こっているのか、何に襲われているのか、敵の目的は何なのか、光車を手に入れるとどうなるのか、龍子とは一体何者なのか、全く分からないまま話が進んでいく。
それでも、文章から濫れる緊迫感や、子供向けファンタジーとは思えないストーリー展開もあり、飽きることなく最後まで読むことができた。
文章がちょっと荒削りな印象も受けるが、それがいい味わいを出しているようにも思われる。

子供向けファンタジーがお好きな方には、間違いなくおすすめできる作品。

キャスト ヴォルテックス

キャスト ヴォルテックス(CAST VORTEX)

Akio Yamamotoのデザイン。

 

とにかく外れない。あまりに外れないので元に戻そうとしても戻らない。

偶然外れることは期待しない方がいい。

動かしながら十分に観察して、どういうことなのかを把握しながら進めていくしかない。

外れるときは様子をちゃんと観察しておかないと、もう元に戻すことができなくなるので注意。