本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

キャスト ドット

キャスト ドット(CAST DOT) Akio Yamamotoのデザイン。 くるくるとよく動くが、外す方向は一か所しかない。 ドットを結ぶラインに微妙な溝が掘ってあり、絶妙な動きで少しずつ外れていく。 迂闊に外してしまうと、今度は元に戻すのに大変な試行錯誤が必要…

雪沼とその周辺

『雪沼とその周辺』(堀江敏幸) <新潮文庫> 読了です。雪沼という山間部の町を舞台にした七つの短編集です。心を揺さぶられる作品もいくつかありますが、ほとんどは淡々と日常が語られているだけです。それにもかかわらず、登場人物には深く共感でき、その日…

1Q84

『1Q84』(村上春樹) <新潮文庫> 読了です。まず初めに、章名について。例えば、「BOOK1 前編」の第1章は目次では次のように書かれています。----------第1章(青豆)見かけにだまされないように----------さて、章名は「(青豆)見かけにだまされないように…

去年の冬、きみと別れ

『去年の冬、きみと別れ』(中村文則) <幻冬舎文庫> 読了です。作品中でもたびたび言及されている、芥川龍之介の『地獄変』にインスパイアされた作品だと思います。この作品も『地獄変』と同様、「死」と「美」をテーマに始まりますが、次第に狂気を帯びてい…

江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島奇譚

『江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島奇譚』(江戸川乱歩)<光文社文庫>読了です。新聞や雑誌の連作小説ということもあり、収録されたどの作品も全体的な構成は考えずに書き始められ、書きながら筋を作っていく、という方法で作られているそうです。「闇に蠢く…

ジャン・クリストフ

『ジャン・クリストフ』[全四冊] (ロマン・ローラン/豊島与志雄訳) <岩波文庫> 読了です。ドイツの小都市に生まれた音楽家ジャン・クリストフ・クラフトの、生誕から死去に至る文字通り一生を描いた作品です。全四冊、二千数百ページを要した長大な作品です…

キャスト シフト

キャスト シフト(CAST SHIFT) 小谷善行とKirill Grebnevのデザイン。 四枚の板の切れ込みを組み合わせて作られている。 一見、ポジションをうまく合わせればすっと外れそうだが(キャスト ラトルのように)、そううまくはいかない。 この形からは想像でき…

「ユリシーズ」演義

『「ユリシーズ」演義』(川口喬一) <研究社出版> 読了です。二十世紀を代表する長編小説、『ユリシーズ』の解説本です。『ユリシーズ』の背景や存在意義などを解説したものではなく、『ユリシーズ』に何が書かれているのか、それがどのような効果を持ってい…

『雲のすべてがわかる本』(武田康男) <成美堂出版> 読了です。今まで読んできた雲の本とちがって、雲がどのようにできているのか、雲がどのようにできていくのか、といった、ちょっと専門的なところまで踏み込んだ本です。また、どのような雲が出てくれば天…

森鴎外全集1

『森鴎外全集1』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。いきなり文語体で、「これは読み終わるのに時間がかかるなあ」と覚悟したのですが、「半日」から口語体になり、一気に読み進めることができました。ドイツ三部作では「舞姫」が有名だと思いますが、私は「…

今年の総括・年越本・手元に残した本

■ 今年の総括今年は何といっても第三の新人に出会えたのが大きかったです。言葉としては知っていましたが、こんなに魅力的な作品だったとは!去年は安岡章太郎の『海辺の光景』が合わなくてどうかと思ったのですが、今年読んだ小島信夫、庄野潤三、小沼丹は…

迷宮

『迷宮』(中村文則) <新潮文庫> 読了です。相変わらず暗く陰鬱な作品ですが、とても濃密な内容です。『掏摸』や『王国』、『悪と仮面のルール』で感じた饒舌は消えていて、そういう点ではとてもすっきりした印象を受けました。紗奈江の告白は余計かな、とも…

太宰治全集9

『太宰治全集9』(太宰治) <ちくま文庫> 読了です。戦後の混乱期から死の直前までの作品集です。第八巻から引き続き、人間の暗い面が多く描かれています。やはり圧巻は「斜陽」「人間失格」だと思いますが、「桜桃」をはじめ、「おさん」「眉山」「女類」と…

王国

『王国』(中村文則) <河出文庫> 読了です。『掏摸』の続編です。正直なところ、『掏摸』の続編としてこの作品でなければならなかったか、というと甚だ疑問です。しかし、『掏摸』の内容をさらに理解するには、この作品は読む必要があるでしょう。この作品を…

太宰治全集8

『太宰治全集8』(太宰治) <ちくま文庫> 読了です。「パンドラの匣」は終戦直後でも希望を失わずに生きていこう、という強い意志を感じる名作ですし、他の短編・掌編も好ましい作品が多いです。しかし、「男女同権」から急に雰囲気が変わります。人間の暗い…

雲と暮らす。

『雲と暮らす。』(武田康男) <誠文堂新光社> 読了です。雲に関する著作が数多くある著者の、雲への愛が深く感じられる作品です。図鑑では典型的な雲の写真ばかりで、普段目にする雲が何という名前か判断に迷うこともありますが、この作品は普段よく見る雲の…

悪と仮面のルール

『悪と仮面のルール』(中村文則) <講談社文庫> 読了。 最初はなかなか物語に入っていけなくてどうなることかと思ったが、「第三部」に入ってから面白くなってきた。 中村文則は一貫したテーマを持っていて、この作品もその中で何とか答えを出そうとしている…

太宰治全集7

『太宰治全集7』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。 長編「津軽」「惜別」と、短編集「お伽草子」が収録されている。 「津軽」は作者の地元愛がしみじみと感じられる傑作。 初期の「富嶽百景」に匹敵する印象を受けた。 「惜別」は私と中国人留学生と先生と、そ…

掏摸

『掏摸』(中村文則) <河出文庫> 読了。「スリ」と読む。スリはもちろん犯罪だが、その驚くべき技術に感心もし、どこか滑稽味も感じる、とても不思議な犯罪だ。しかし、この作品は「スリ」という言葉から想起されるイメージよりもずっと暗く、ただただ重たい…

太宰治全集6

『太宰治全集6』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。この巻は何といっても大作「右大臣実朝」が問題になる。太宰治が実朝に惚れこんで、吾妻鏡を基に書かれた作品。かなり思い入れがあって力を入れて書いたんだろうな、という雰囲気は十分感じられるが、私にはそ…

ガードナーの新・数学娯楽

『ガードナーの新・数学娯楽』(マーティン・ガードナー/岩沢宏和,上原隆平監訳)<日本評論社> 読了。数学ゲーム全集の第三巻。なかなか出版されなくてやきもきしていたが、ちゃんと出版されて良かった。今後どれくらいの周期で出版されていくのだろうか……。以…

村のエトランジェ

『村のエトランジェ』(小沼丹) <講談社文芸文庫> 読了。初期の作品集のため、様々な文体で表されているが、ほとんどどの作品も面白く読めた。特に「紅い花」「白孔雀のいるホテル」「村のエトランジェ」は傑作。小沼丹(おぬまたん)はいわゆる第三の新人に…

太宰治全集5

『太宰治全集5』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。太宰治と言うと、何だか暗い作風を思ってしまうが、暗いというよりむしろいじけたような作品が多い。しかし、全集五巻では、「正義と微笑」のような未来への希望溢れる作品や、「黄村先生言行録」「花吹雪」「…

最後の命

『最後の命』(中村文則) <講談社文庫> 読了。少年期に秘密基地近くで親友と共有したある事件。それが成長する二人を引き離し、また引きつける。少年期の友達という、ほのかに漂う甘酸っぱさが何ともいえない感情を引き起こす。これまでの作品から引き継がれ…

『太宰治全集4』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。「新ハムレット」はシェイクスピアの「ハムレット」に題材を取った意欲作だが、やはり元が有名過ぎるし良過ぎるので、相当な違和感があった。ちょっと太宰治には荷が重かったかな。それでも、最後の事件から真…

光車よ、まわれ!

『光車よ、まわれ!』(天沢退二郎) <ブッキング> 読了。子供向けのファンタジー長編ですが、大人でも十分楽しめる。一体何が起こっているのか、何に襲われているのか、敵の目的は何なのか、光車を手に入れるとどうなるのか、龍子とは一体何者なのか、全く分…

キャスト ヴォルテックス

キャスト ヴォルテックス(CAST VORTEX) Akio Yamamotoのデザイン。 とにかく外れない。あまりに外れないので元に戻そうとしても戻らない。 偶然外れることは期待しない方がいい。 動かしながら十分に観察して、どういうことなのかを把握しながら進めていく…

キャスト カルテット

キャスト カルテット(CAST QUARTET) MINE. Uyematsuのデザイン。 初めて外した時は力づく。戻した時も力づく。 外すのに一週間、戻すのに一か月かかった。 とにかく時間はかかるし力もいるし、二度と見たくないパズルだった。 しかし、このパズルにも解法…

キャスト ナットケース

キャスト ナットケース(CAST NUTCASE) Oskar Van Deventerのデザイン。 内部構造型で微妙な作りになっているため、外すのに本当に苦労する。 外すと中から小さなナットが出てくるのが楽しい。 つまり、「nutcase」。 はずる キャスト ナットケース【難易度…

キャスト エニグマ

キャスト エニグマ(CAST ENIGMA) Eldon Vaughnのデザイン。 独特な形状のパーツが非常に繊細に組み合わせられている。 利用できることは利用しないと解くことができない。 外せたとしても、戻すときにまた苦労する。 時間を空けてしまうと解法を思い出せな…

キャスト パドロック

キャスト パドロック(CAST PADROCK) JinHoo Ahnのデザイン。 パーツの微妙な違いが外れることを阻む。 そしてあるとき急に外れる。 外すときに少しずつ変わっていく形状がとても楽しい。 はずる キャスト パドロック【難易度レベル5】 ハナヤマ Amazonで詳…

キャスト スクエア

キャスト スクエア(CAST SQUARE) Vesa Timonenのデザイン。 実はすぐに外れてしまう。 このパズルのキモは、「組み方を変えることができる」ということ。 組み方を変えると最初に外れた方法で外すことはできない。 組み方を変えるごとに解法が変わる、と言…

キャスト へリックス

キャスト へリックス(CAST HELIX) AkioYamamotoのデザイン。 その形状から、最初はいろいろ試してみることになるだろう。 外れるときのヌルヌルした感じが気持ちいい。もちろん、力はいらない。 はずる キャスト へリックス【難易度レベル5】 ハナヤマ Ama…

キャスト エクア

キャスト エクア(CAST EQUA) Oskar Van Deventerのデザイン。 初めて挑戦するときは、ラッキーが重ならないと外れないと思った方がいい。実はちょっと意地悪なパズル。 最終的には力ずくで外していたが、三年ぐらいかけてようやく解法を見つけた。 今のと…

キャスト ラディックス

キャスト ラディックス(CAST RADIX) Akio Yamamotoのデザイン。 ままあることだが、解き方が二通りある。 微妙な動き、位置の中で外さなければならない。 うまくそこを見つけることができるだろうか。 はずる キャスト ラディックス【難易度レベル5】 ハナ…

キャスト キーホール

キャスト キーホール(CAST KEYHOLE) Vesa Timonenのデザイン。 たったこれだけの切れ込みなのに、外すためには右往左往しなければならない。 単純な中に深みを感じさせる作品。 はずる キャスト キーホール【難易度レベル4】 ハナヤマ Amazonで詳細を見る

キャスト ユー&ユー

キャスト ユー&ユー(CAST U&U) Kyoo Wongのデザイン。 ひと目見て、これが外れるとは信じられない。 まず、どう外れるのか、そのイメージをつかむのに随分悩まなければならない。 はずる キャスト ユー&ユー【難易度レベル4】 ハナヤマ Amazonで詳細を見る

キャスト ツイスト

キャスト ツイスト(CAST TWIST) Oskar Van Deventerのデザイン。 迷路系なのでいつかは外れるが、その道のりは長い。 たったこれだけの筋と大きさなのに、その長さには驚くべきものがある。 はずる キャスト ツイスト【難易度レベル4】 ハナヤマ Amazonで…

キャスト シリンダー

キャスト シリンダー(CAST CYLINDER) Vesa Timonenのデザイン。 まったくとっかかりがない。 しかし、触っているうちにふいに動き出す。 それでも安心してはいけない。すべてを外すにはさらに試行錯誤が必要だ。 はずる キャスト シリンダー【難易度レベル…

キャスト バロック

キャスト バロック(CAST BAROQ) Akio Yamamotoのデザイン。 すぐにも外れそうだが、そうはいかない。 外れるときの美しさはシリーズ中でも一、二を争う。 はずる キャスト バロック【難易度レベル4】 ハナヤマ Amazonで詳細を見る

キャスト ギャラクシー

キャスト ギャラクシー(CAST GALAXY) Bram Cohenのデザイン。 外すのは簡単に外れる。 問題は戻すこと。固定観念にはまると戻せない。発想の転換が必要。 はずる キャスト ギャラクシー【難易度レベル3】 ハナヤマ Amazonで詳細を見る

キャスト ジー&ジー

キャスト ジー&ジー(CAST G&G) JinHoo Ahnのデザイン。 非常にシンプルだが、一直線には解けない。 単純な中の深みを感じさせる作品。 はずる キャスト ジー&ジー【難易度レベル3】 ハナヤマ Amazonで詳細を見る

キャスト オーギア

キャスト オーギア(CAST O'GEAR) Oskar Van Deventerのデザイン。 行けそうで行けない不思議。外れそうで外れない不思議。 迷路系なのでいつかは外れるが、その道のりを存分に楽しむことができる。 はずる キャスト オーギア【難易度レベル3】 ハナヤマ Am…

キャスト ビオロン

キャスト ビオロン(CAST VIOLON) Joseph L.Litleのデザインに室井忠夫氏と芦ヶ原伸之氏が手を加えた。 とても美しい造形である。 外すのはそれほど難しくないが、外れるときによく観察していないと、戻すのがとても難しい。 はずる キャスト ビオロン【難…

キャスト ボックス

キャスト ボックス(CAST BOX) YUTAKA AKIRAのデザイン。 シンプルな形状の迷路系なので、まったく問題なく解けそうだが、深みにはまってしまうとなかなか抜け出せない。 意外な外れ方も楽しい。 はずる キャスト ボックス【難易度レベル2】 ハナヤマ Amazo…

プールサイド小景・静物

『プールサイド小景・静物』(庄野潤三) <新潮文庫> 読了。最初に収録されている「舞踏」から、いきなり魅了された。この感性はすごい!小説だが、一篇の詩を読んでいるようだ。どの作品も、日常にしっかりと足を下しながら、しかも日常に潜む密かな非日常を…

悪意の手記

『悪意の手記』(中村文則) <新潮文庫> 読了。総ページ数190の短編ですが、読むのに三日かかった。 厚くてもすぐ読める作品もあれば、薄くても時間のかかる作品もあるものだ。正直、この作品はうまく消化しきれていない。自分の中に取り込むには、かなり長い…

太宰治全集3

『太宰治全集3』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。全集を読んでいると、「走れメロス」のような作品がかなり異色であることがわかる。「畜犬談」はユーモラスな中に、ほろっとさせる作品。太宰が嫌いな方にもおすすめだ。「駈込み訴え」は緊迫感あふれる作品。…

終の住処

『終の住処』(磯崎憲一郎) <新潮文庫> 読了。「終の住処」と「ペナント」の二短編が収録されている。デヴィッド・リンチの映画を観たかのような読感だった。実は、「終の住処」を読んだときはうまくとらえることができず、ただただ困惑していたのだが、「ペ…

土の中の子供

『土の中の子供』(中村文則) <新潮文庫> 読了。コテンパンに打ちのめされた。ものすごい作品!この小説に比べたら、世に出回っている大半の小説はヤワい。本当に、中村文則の作品に出会えて良かったと思った。 土の中の子供 (新潮文庫) 中村 文則 新潮社 Ama…