本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

荘子 第三冊(雑篇)

『荘子 第四冊』(金谷治訳注)<岩波文庫> 読了。 今年のゴールデンウィークから読み始めた荘子も、ようやく読了となった。二年前の春以降、いろんなことが起こり、いろんなことを考えて試してきて、ある程度「これでいけるかもしれない」と思えるようにな…

荘子 第三冊(外篇、雑篇)

『荘子 第三冊』(金谷治訳注)<岩波文庫> 読了。 第二冊から引き続き外篇の五篇と、雑篇の三篇が収録されている。 もちろん意図したわけではなく、単に順番に適切な量を収録しているだけだろうが、第二冊と比べると比較的荘子の思想をそのまま述べたもの…

ガードナーの予期せぬ絞首刑

『ガードナーの予期せぬ絞首刑』(マーティン・ガードナー/岩沢宏和,上原隆平 監訳)<日本評論社>読了。 2017年5月の刊行で、二年あまりかけてようやく読み終えた。いろいろ忙しかったり生活スタイルが変わったりしたこともあるが、内容も盛りだくさんで難…

荘子 第二冊(外篇)

『荘子 第二冊(外篇)』読了。 内篇は、自分の小さな物差しを捨てて「それをそのままに見る」ことが主に書かれていると読んだ。その中で、儒者のいう仁義のようなものは「それをそのままに見ていない、ことさらなこと」として戒めていた。そのような表現は…

荘子 第一冊(内篇)

『荘子 第一冊(内篇)』(金谷治訳注)<岩波文庫> 読了。 荘子は大学時代に出会ってその魅力に取りつかれ、幾度となく読んできた。しかし、実際にその考え方を取り入れるとなると難しい。難しいというより、どうやっても現実の生活とは相容れないように思…

江戸川乱歩全集 第7巻

『江戸川乱歩全集 第7巻』(江戸川乱歩)<光文社文庫> 読了。 「何者」は活劇も偏執もない、いわゆる本格物。発表当時の評判はよくなかったそうだが、その動機がなかなか奮っていて興味深い。 「黄金仮面」は発表媒体の性質上、老若男女にウケる作品とい…

すべて真夜中の恋人たち

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)<講談社文庫> 読了。 まず、川上未映子がこのような人物を主人公に据えたことに驚いた。 川上未映子が書いたものはいくつか読んだことがあるし(小説は『乳と卵』だけだが)、講演会にも出たことがあるので、彼女…

『卍』(谷崎潤一郎)<中公文庫> 読了。 文豪谷崎潤一郎が書いたレズビアン小説として名高いが、そういう興味からはいってしまうとすぐに飽きてしまうだろう。そういうシーンが無いではないが、直接的な表現はほぼ無いし、あったとしても軽い内容だし、回…

ラピスラズリ

『ラピスラズリ』(山尾悠子)<ちくま文庫> 読了。 研ぎ澄まされた言葉の数々。寡作だとは聞いていたが、一つ一つの言葉をこれほど磨き上げているのであれば、寡作であるのは無理からぬ事だろう。 冒頭は次の一文から始まる。----------「画題(タイトル)…

森鴎外全集6

『森鴎外全集6』(森鴎外)<ちくま文庫>読了。 作品を読むのに、漫画化されたものや映画化されたものや、「五分で読める」ようにまとめられたものを読むだけですませて何が悪いか、という意見がある。 わたしはその答えとして「表現」というものを用意し…

今年の総括(2018年)

今年の総括と、「手元に残した本」「年越本」です。 ■ 総括今年は忙しくて気分的にまいっていた時期もあり、あまり本を読めませんでした。去年からの年越本を含めて27冊です。また、今年は「これは!」という出会いもありませんでした。逆に、『A』や『教団X…

終わらない歌

『終わらない歌』(宮下奈都)<実用之日本社文庫>読了です。『よろこびの歌』の続編です。 『よろこびの歌』では最後のシーンに向けてどんどん物語を盛り上げていく手法でしたが、『終わらない歌』では一章毎に物語が完結するように作られていました。それでも…

落下する夕方

『落下する夕方』(江國香織) <角川文庫> 読了です。 江國香織の作品を読むと、薄っすらとこわさを感じるのは私だけでしょうか。世界の薄暗い面を見てしまっている気持ちがします。 物語を語っていく主人公が、(私から見ると)世界のセカンドサイドの住民で…

森鴎外全集5

『森鴎外全集5』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。 「堺事件」は前巻の「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」からの流れを汲み、事件の生々しさが伝わって読んでいて辛いものがあります。特に切腹のシーンは、フランス公使のみならず、現代の読者にとっても…

幸福論

『幸福論』(アラン / 神谷幹夫訳) <岩波文庫> 再読です。 記録を見返すと、2012年11月に初めて読んだ作品でした。 前回はとにかく新しい考え方のオンパレードで、心を震わせながら読むことができました。今回は、前回よく理解できなかったところも自分なりに…

異邦人

『異邦人』(カミュ/窪田啓作訳) <新潮文庫> 読了です。 私が高校生のときに読書感想文の課題だった作品です。その時以来の再読です。 今読んでみると、訳が本当に難しい。当時も何が起こっているのかがなかなかわからない、というところが逆に楽しかった覚え…

きりこについて

『きりこについて』(西加奈子)<角川文庫> 読了です。 ※※ネタバレを含むので気になる方は読まないでください※ ■ 表現少し北杜夫のユーモアに似ているかな、と思いました。独特の表現で、とてもおもしろいと思います。 ■ 内容不自然とも思える急な展開ですが、…

葬送

『葬送』[全四冊](平野啓一郎)<新潮文庫> 読了です。 ショパンとドラクロワという、ジャンルの異なる二人の天才芸術家の生き方を中心に、芸術論、政治情勢、民族紛争、歴史、旅行記、地理、恋愛、社交界、等等、とにかく濃密な記述に満ちた作品です。一文一…

星新一 ショートショート1001

『星新一 ショートショート1001』[全三冊] (星新一) <新潮社>読了です。 タイトルに「1001」とありますが、文庫未収録作品を含め、1024作品が収録されています。 少しずつ読んで、十数年かかりました。 これだけあると、純粋に「おもしろい!」という作品も…

江戸川乱歩全集 第5巻

『江戸川乱歩全集 第5巻』(江戸川乱歩) <光文社文庫> 読了です。 「押絵と旅する男」はとても不思議な短編です。今ならこういう発想もあるかもしれませんが、江戸川乱歩が書くとなんともいえない妖しいイメージで表現されており、今読んでも十分通用するとて…

カンバセイション・ピース

『カンバセイション・ピース』(保坂和志) <河出文庫>読了です。最近好きになった柴崎友香が影響を受けている作家、ということで読んでみました。 日常の何気ない情景が描かれている、という点で、柴崎友香や堀江敏幸の作風と通じるところがあります。このあ…

『老人と海』(ヘミングウェイ/福田恆存訳) <新潮文庫> 読了です。 実に骨太な作品。「配られたカードで勝負しろ」「塩がなければどうするか」を地で行くサンチャゴ老人には、ただただ憧れるしかありません。気持ちの弱い方にはぜひ読んでいただきたい作品で…

夕暮まで

『夕暮まで』(吉行淳之介) <新潮文庫> 読了です。 「あなたは、騙すことばかり考えているのよ、なにもかも」(P11) この一文に、ふと手が止まりました。普通の流れなら、「なにもかも」ではなく「いつも」とか「だれにでも」になると思います。しかし、ここ…

森鴎外全集4

『森鴎外全集4』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。 正直、全集3までは鴎外のエリート臭が鼻につく作品も多くありましたが、全集4では肩の力も抜けたようで、どれも傑作といっていいと思います。 人の心情が細やかに表現されており、どの文章を読んでも心…

女のいない男たち

『女のいない男たち』(村上春樹) <文春文庫> 読了です。短編集です。 私の好みでは、「木野」が秀逸だと思いました。なんとも不気味な雰囲気がずっと揺るがず漂っていて、村上ワールドが強からず弱からず出せていたと思います。タイトルも良いです。 短編集…

江戸川乱歩全集第4巻 孤島の鬼

『江戸川乱歩全集第4巻 孤島の鬼』(江戸川乱歩) <光文社文庫>読了です。 「孤島の鬼」と「猟奇の果」が収録されています。 「孤島の鬼」は、最初はロマンチックな感じの密室殺人事件でしたが、だんだん様相を変えてきます。しかし、「闇に蠢く」のような冗…

ファウスト

『ファウスト』[全二冊](ゲーテ)<新潮文庫>読了です。 ※※内容に触れますので、嫌な方は読まないでください。※ 思いの外すらすらと読めました。第一部は波乱万丈・お祭り騒ぎが盛大で、とにかく読んでいて楽しいです。学生をからかったり、魔女の厨の異空間を…

今年の総括

今年の総括と、「手元に残した本」「年越し本」です。 今年はとにかく、『ジャン・クリストフ』を読んだのがとても大きかったです。「結局、読書なんて趣味だから」とこれまで思っていましたが、趣味でない読書、というものが存在することを知りました。この…

『春の庭』(柴崎友香) <文春文庫> 読了です。 現れてくる一文をじっくり味わいたくなる。しかし、どれだけ味わっても味がなくなることはなく、キリがないので渋々次の一文に移る。そして、次の一文もまたじっくり味わいたくなる。 そんな、一文一文が積み重…

森鴎外全集3

『森鴎外全集3』(森鴎外)<ちくま文庫> 読了です。 最近ますます読むのが遅くなり、読むのに一か月近くかかりました。それでも、一文一文を噛み締めて読むよろこび、作者がどう思ってこの一文を書いたのかを自分なりに辿るよろこびが分かってきたような感じ…