本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

雨の名前

『雨の名前』(高橋順子,佐藤秀明) <小学館> 読了。

 

まほろば歳時記の第一集。
さまざまな雨の名前を四季ごとに集め、簡単な解説が付けられている。
例えば、
■春霖(しゅんりん) : 春霖雨(はるりんう)ともいう。こまかく烟るように降りつづく三、四月ころの長雨。春雨は長雨になることが多い。「霖」は長雨の意で、とくに三日以上つづく雨をいう。十日以上になると「霪雨(いんう)」という。秋に降る長雨は「秋霖」。
■樹雨(きさめ) : 「きあめ」ともいう。濃霧のとき、霧のしずくが森林の木の葉にたまり、それが大粒の水滴になって落下するもの。幹を伝って流れもする。
■蕭雨(しょうう) : 「蕭」は、もの淋しい、の意で、しとしとと降りつづくもの淋しい秋の雨。明治から昭和にかけて活躍した画人川合玉堂に「彩雨」という一幅がある。雨が山里を染めあげてゆく……墨絵に近い淡彩ながら、豊饒と寂寥が交差する佳品だ。
■鬼洗い(おにあらい) : 大晦日に降る雨のことで、「鬼やらい=追儺」にあやかってのものか。
などなど。

著者が詩人なので、解説にも風情がある。
写真も素晴しい。

これほどの雨の名前を実生活で使うことはまずないだろうけれど、「こんな雨の名前があるんだ」と思うだけで嬉しくなる。

表紙がなんだかゴタゴタしていて、ちょっと損している感がある。
表紙から想像される内容よりも、ずっと豊かで情緒溢れる作品だ。

あと、著者のエッセイ風の短文はいらないかな。