回転木馬のデッド・ヒート
『回転木馬のデッド・ヒート』(村上春樹) <講談社文庫> 読了。
小説ではなく、また、完全な事実だけでもないものを、作者は「スケッチ」と呼んでいる。
この作品は、小説になれなかった八つのスケッチを集めたもの。
読んでみると、「原則事実に即している」とはいいつつ、村上ワールドいっぱいだ。
どうしてこれが小説になれなかったのか、一読者としては首をひねるばかりだ。
「スケッチ」だと言われなかったら、短編小説集だと思っていたに違いない。
これらの話が小説にならない、という嗅覚を持っている人が本物の小説家になれるんだろうな。
<収録作品>
・はじめに・回転木馬のデッド・ヒート
・タクシーに乗った男
・プールサイド
・今は亡き王女のため
・嘔吐1979
・雨やどり
・野球場
・ハンティング・ナイフ