本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

神の子どもたちはみな踊る

神の子どもたちはみな踊る』(村上春樹) <新潮文庫> 読了。

 

阪神・淡路大震災を契機に書かれた短編集で、どの作品にも少しずつこの地震が出てくる。
しかし、決して暗い話ではなく(深刻ではあるかもしれないが)、未来への希望やユーモアさえも感じられるものだ。
それでも、作者のかなり深いところから汲み上げられた話ばかりで、どの話も「何か」を感じさせられる。

作者はタイトルと書き出しだけ決めて、あとは筆に委せて(?)書き進めると聞いたことがあるのだが、この作品もそうなのだろうか。
もしそうだとしたら、このタイトルとこの書き出しから統一感のある作品を作り出したのは神業だと思う。

長編以外は結構ばらばらに読んでいる村上作品だが、この作品の前と後を読み比べてみたくなった。

 

<収録作品>

・UFOが釧路に降りる

・アイロンのある風景

神の子どもたちはみな踊る

タイランド

・かえるくん、東京を救う。

・蜂蜜パイ