終の住処
『終の住処』(磯崎憲一郎) <新潮文庫> 読了。
「終の住処」と「ペナント」の二短編が収録されている。
デヴィッド・リンチの映画を観たかのような読感だった。
実は、「終の住処」を読んだときはうまくとらえることができず、ただただ困惑していたのだが、「ペナント」を読んで「ああ、そういうことなんだ」と思うことができた。
一言でいうなら、物語でない小説なのだ。
一つ一つの細かいエピソードがそのまま一つの作品であり、作品群として一つの短編が形成されていると私は理解した。
たまたま「終の住処」が芥川賞受賞作だったため、表題も「終の住処」になり収録順も「終の住処」が先になっているが、「ペナント」の方が作風を良く理解できるんじゃないかと思う。
もし読まれるなら、先に「ペナント」を読まれて、磯崎作品に慣れてから「終の住処」を読まれることをおすすめする。