本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

太宰治全集6

太宰治全集6』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。

この巻は何といっても大作「右大臣実朝」が問題になる。
太宰治が実朝に惚れこんで、吾妻鏡を基に書かれた作品。
かなり思い入れがあって力を入れて書いたんだろうな、という雰囲気は十分感じられるが、私にはその面白さが分からなかった。
実朝のことを全く知らないからだろうか。

その他の作品は太宰治らしさが存分に出ていて面白く読めた。
特に、「新釈諸国噺」はとても楽しい作品。
どこまでが西鶴のストーリーで、どこからが太宰のストーリーなのか気になる。

「竹青」は「自註。これは、創作である」と書かれているが、実際に聊斎志異の中にあるらしい。
でも、この話、最近読んだような気がする。
「黒衣隊が欠けているから採用する」とか、黒衣を掛けられると烏になるとか。
思い当たるとすれば芥川龍之介なんだが、なんだったかなあ。

<収録作品>

鉄面皮
赤心
右大臣実朝
作家の手帖
佳日
散華
雪の夜の話
東京だより
新釈諸国噺
竹青