「ユリシーズ」演義
『「ユリシーズ」演義』(川口喬一) <研究社出版> 読了です。
二十世紀を代表する長編小説、『ユリシーズ』の解説本です。
『ユリシーズ』の背景や存在意義などを解説したものではなく、『ユリシーズ』に何が書かれているのか、それがどのような効果を持っているのか、といった、純粋にテキストに沿った解説本ですので、初めて『ユリシーズ』を読む方にはいい入門書になりますし、『ユリシーズ』に親しんでいる方には今まで見えていなかったものを見せてくれる、非常に奇特な作品になっていると思います。
この作品を読むと、『ユリシーズ』がいかに緻密に作られているか、いかに謎に満ちているか、が非常によく分かります。
『ユリシーズ』の楽しみがどんどん増えてくるような気がします。
文学史上の有名な謎の一つ、「雨合羽(マッキントシュ)の男とは誰か?」についても、著者のスタンスから一つの見解が示されています。
ご興味ある方はぜひ!