本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

ジャン・クリストフ

『ジャン・クリストフ』[全四冊] (ロマン・ローラン/豊島与志雄訳) <岩波文庫> 読了です。

ドイツの小都市に生まれた音楽家ジャン・クリストフ・クラフトの、生誕から死去に至る文字通り一生を描いた作品です。
全四冊、二千数百ページを要した長大な作品です。

クリストフの成長譚、と括ってしまうにはあまりに濃密な内容でした。
私は「読書は趣味でしかない」とこれまで考えてきましたが、この作品を読むと、単なる趣味では済まされないような気がしてきます。
この作品を読み切るためには、相当な読書力を求められるでしょう。(手前味噌ですみません)
正直なところ、あの『失われた時を求めて』よりも手強かったです。
「我こそは!」と思われる方がおられたら、ぜひ挑戦していただきたいです。

去年の十二月半ば、2016年から2017年への年越本にこの作品を選んで、読み終えるのに三か月半かかりました。
ずっとクリストフと付き合っていると、彼との別れが寂しく感じられます。
自分をクリストフに投影していましたし、クリストフからもいろんな影響を受けました。
特に、クリストフが少年期に叔父からかけられた言葉、老年期で至った境地、は、私の人生の指針となりそうです。

あと、これは蛇足ですが、BLの要素も含んでいます。
そういうのがお好きであれば、第一冊 P226から始まるオットーとの出会い、第三冊 P145から始まるオリヴィエとの交流を、つまんでみても面白いかな、と思います。 :-)