本とパズルのブログ

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江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島奇譚

江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島奇譚』(江戸川乱歩)<光文社文庫>
読了です。

新聞や雑誌の連作小説ということもあり、収録されたどの作品も全体的な構成は考えずに書き始められ、書きながら筋を作っていく、という方法で作られているそうです。

「闇に蠢く」はなかなか筋が決まらず苦心したとみえ、本当に支離滅裂な作品に仕上がってしまいましたが、「湖畔亭事件」「パノラマ島奇譚」「一寸法師」は全体も整っていますし、ストーリーも面白く、全体を考えずに書かれているとは思えない完成度だと思いました。

解説で新保博久
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乱歩作品につきまとうアブノーマルもグロテスク趣味のイメージも装飾であって、本質ではない。
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と書いていますが、そうなんでしょうか。
私は「アブノーマル」や「グロテスク」が本質で、ミステリ要素が装飾だと思ってました。 :-)

「湖畔亭事件」の語り手の趣味、「パノラマ島奇譚」の千代子と廣介との花火のシーンおよびラストの花火のシーン、「一寸法師」の冒頭の浅草のシーンや夜更けの人形師宅での解き明かし、そういうところに江戸川乱歩の面白さがあるんじゃないのかな、と思います。

明智小五郎が「イヤな男」というのは同意です。
本当にクセのある探偵ですよね。 :-)

 

<収録>

闇に蠢く
湖畔亭事件
空気男
パノラマ島綺譚
一寸法師