本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

老人と海』(ヘミングウェイ/福田恆存訳) <新潮文庫> 読了です。

実に骨太な作品。
「配られたカードで勝負しろ」「塩がなければどうするか」を地で行くサンチャゴ老人には、ただただ憧れるしかありません。
気持ちの弱い方にはぜひ読んでいただきたい作品です。

無駄のない文章で心情や状況を淡々と述べながら、読者に熱い気持ちを抱かせるのは流石ヘミングウェイです。
他の作品も読んではみましたが、『老人と海』が最もおもしろいし興味深いと思いました。

実は二回目の読書です。
もし奥付どおりに読んだのだったとしたら、前回は三十数年前に読んだことになります。
ずっと「また読みたい」と心の奥底で思っていて、ようやく二回目を読みました。
マノーリン少年って、最初から登場していたんですね。
海に出るまで思っていたより長かったことにびっくりしました。

福田恆存の解説も、アメリカ文学をヨーロッパ文学と比較して語っているという点で非常におもしろいです。
ただ、最初に読むと作品への興味が薄れるかもしれないので(アメリカ文学をかなり軽く見ている)、やはり最後に読まれたほうがいいと思います。