本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

カンバセイション・ピース

カンバセイション・ピース』(保坂和志) <河出文庫>読了です。
最近好きになった柴崎友香が影響を受けている作家、ということで読んでみました。

日常の何気ない情景が描かれている、という点で、柴崎友香堀江敏幸の作風と通じるところがあります。
このあたり、好きな方は一読されると良いと思います。

とにかくくどいくらい長い文章が続き、クネクネとうねっていく様子は、人を選ぶというより人を篩にかけているような感じがします。
まず最初の一文(五行!)を読んで、それで文体がダメな人はもうダメでしょう。

特に125ページから128ページにかけて続く一文(!)は、その一文の間に、
飼っている犬や猫の話をし、
子どもの話をし、
チャンネル争いに敗れ、
チャンネル争いに勝った従兄弟が居眠りをし、
親戚の話をし、
飼っている犬や猫の死について考える、という圧巻の文章となっています。

粘着質のような視線や家などについての考察は、私の感覚とだいぶ違っていてなかなか理解できないし、猫の詳細な描写も私にはあまり興味を持てませんでした。

しかし、人との会話はおもしろく魅力的だし、なんと言ってもベイスターズの試合の詳細な描写には思わず熱くなってしまいます。

いろんな要素が詰め込まれていて、今後も読むかどうか判断が難しい作家でしたが、むしろこの作品は取っ付きにくく、他の作品はおもしろく読めた、という情報もあり、もう少し付き合ってみようかと思っています。