本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

仮面の告白

仮面の告白』(三島由紀夫) <新潮文庫> 読了。
ものすごい本に出会った! と、とても興奮している。
毎日朝起きるとこの本が読めると思ってワクワクしていた。
そして読む度に深い溜息をついた。

ずっと「三島由紀夫はピンと来ない」と思っていて、「この本を最後にしよう」と購入したのがこの『仮面の告白』だった。
この作品を最後に選んで本当に良かった。
そうでなければ、三島由紀夫の素晴しさを知らずに終わるところだった。

中村文則の『何もかも憂鬱な夜に』を読んだ時に、作品の内容よりも文章力にぐいぐい惹きこまれる、という経験をした。
この作品も全く同じ体感だ。
たまたま最近、諏訪哲史が「どんな話か(what)よりもどのように(how)語られたか」に焦点を当てて文学の批評をしている、というのを知ったのだが、中村文則にしろ三島由紀夫にしろ、この批評にこそ相応しい作家だと思う。
この批評の方法に賛同される方には強くおすすめする。