本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

掏摸

『掏摸』(中村文則) <河出文庫> 読了。「スリ」と読む。スリはもちろん犯罪だが、その驚くべき技術に感心もし、どこか滑稽味も感じる、とても不思議な犯罪だ。しかし、この作品は「スリ」という言葉から想起されるイメージよりもずっと暗く、ただただ重たい…

太宰治全集6

『太宰治全集6』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。この巻は何といっても大作「右大臣実朝」が問題になる。太宰治が実朝に惚れこんで、吾妻鏡を基に書かれた作品。かなり思い入れがあって力を入れて書いたんだろうな、という雰囲気は十分感じられるが、私にはそ…

ガードナーの新・数学娯楽

『ガードナーの新・数学娯楽』(マーティン・ガードナー/岩沢宏和,上原隆平監訳)<日本評論社> 読了。数学ゲーム全集の第三巻。なかなか出版されなくてやきもきしていたが、ちゃんと出版されて良かった。今後どれくらいの周期で出版されていくのだろうか……。以…

村のエトランジェ

『村のエトランジェ』(小沼丹) <講談社文芸文庫> 読了。初期の作品集のため、様々な文体で表されているが、ほとんどどの作品も面白く読めた。特に「紅い花」「白孔雀のいるホテル」「村のエトランジェ」は傑作。小沼丹(おぬまたん)はいわゆる第三の新人に…

太宰治全集5

『太宰治全集5』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。太宰治と言うと、何だか暗い作風を思ってしまうが、暗いというよりむしろいじけたような作品が多い。しかし、全集五巻では、「正義と微笑」のような未来への希望溢れる作品や、「黄村先生言行録」「花吹雪」「…