本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

2014-01-01から1年間の記事一覧

第七官界彷徨

『第七官界彷徨』(尾崎翠) <河出文庫> 読了。 タイトルから耽美な作品を想像していたのですが、全く違った。どこか北杜夫やクラフト・エヴィング商會を感じさせる、非常にユーモアに満ちた作品だ。兄二人と従兄弟との共同生活をする「女の子」の、なんともコ…

仮面の告白

『仮面の告白』(三島由紀夫) <新潮文庫> 読了。ものすごい本に出会った! と、とても興奮している。毎日朝起きるとこの本が読めると思ってワクワクしていた。そして読む度に深い溜息をついた。ずっと「三島由紀夫はピンと来ない」と思っていて、「この本を最…

鉄塔武蔵野線

『鉄塔武蔵野線』(銀林みのる) <ソフトバンク文庫> 読了。 以前、新潮社から出版され、大変話題になった作品。私も新潮社の単行本を読み、これが二回目となる。単行本版とソフトバンク文庫版では、内容もいくつか変更されているようだが、一番大きな変更は「…

飛ぶ教室

『飛ぶ教室』(エーリヒ・ケストナー/池内紀訳) <新潮文庫> 読了。 クリスマスまでのほんの数日の間に、寄宿舎で起こる様々な事件が描かれている。生徒だけでなく、大人にも素敵なことが起こる。中心となる五人の生徒のキャラがうまく立っていて、楽しく読む…

檀流クッキング

『檀流クッキング』(檀一雄) <中公文庫> 読了。 よく本を読んでいて「電車で泣きそうになって困った」「電車で笑って困った」という話は聞くが、私はこの本を電車で読んでいてお腹が空いて困った。----------檀料理教室は、いつも貧寒で侘しい料理ばかりだと…

紋切型辞典

『紋切型辞典』(フローベール/山田ジャク訳) <平凡社ライブラリー> 読了。 皮肉に満ちた作品なのかと想像していたが、大喜利みたいな感じだった。 言葉をいろんな面から簡潔に捉えていて、とても面白く読めた。 私もこんな辞典をつくってみたい。 紋切型辞典…

柳生忍法帖

『柳生忍法帖』[全二巻] (山田風太郎) <講談社文庫> 読了。 柳生、とタイトルにあるとおり、柳生十兵衛の活躍する物語。 忍法はほとんど関係ない。 柳生十兵衛が一応の主人公だが、悪と対戦するのは、夫や父、主人を殺された女性たち。柳生十兵衛はその後見…

魔界転生

『魔界転生』[全二冊] (山田風太郎) <講談社文庫> 読了。 だいたいの忍法帖シリーズはなんだか書き散らしたかのような印象だが、この作品は骨組みがしっかりしていて読みごたえがあった。 悪も強い、善も強い、強い者同士がぶつかって、さてどう決着するのか…

手紙

『手紙』(東野圭吾) <文春文庫>読了。 東野圭吾にもこんな作品が書けるんだ、とちょっと見直した。 とても良かった。 最初にこの作品を読んでいたら、東野圭吾に対するイメージもだいぶ変わっていただろう。 ただ、あまりにヒットが少ないため、これ以上東野…

白鯨

『白鯨』[全三巻](メルヴィル/八木敏雄訳) <岩波文庫> 読了。 小説というより、鯨事典に物語がはさまってる感じ。 じゃあ退屈なのか、というとそんなことはなく、とてもおもしろく読むことができた。 “鯨事典”のパートでつぶさに鯨を分析しつつも、結局白鯨…