本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

螢・納屋を焼く・その他の短編

『螢・納屋を焼く・その他の短編』(村上春樹) <新潮文庫> 読了。 初期の短編集。長編はほぼ発表順に読んでいるので気づかなかったが、初期のころは結構暗い話が多かったんだなあ、と思った。もちろん、当時から村上ワールドは炸裂だ。あとがきで、最後に「小…

回転木馬のデッド・ヒート

『回転木馬のデッド・ヒート』(村上春樹) <講談社文庫> 読了。 小説ではなく、また、完全な事実だけでもないものを、作者は「スケッチ」と呼んでいる。この作品は、小説になれなかった八つのスケッチを集めたもの。読んでみると、「原則事実に即している」と…

寝ても覚めても

『寝ても覚めても』(柴崎友香) <河出文庫> 読了。 とにかく、ものすごい描写力に驚いた。光を、色を、風を、窓を、夜を、そして季節を、これほどまでに描写できる作家は彼女しかいないかもしれない。一言一句も逃したくないため、それこそむさぼるように読み…

中国行きのスロウ・ボート

『中国行きのスロウ・ボート』(村上春樹) <中公文庫> 読了。村上春樹初の短編集。中編、長編は書いていたとはいえ、短編はまた違った難しさがあるだろうと思うのだが、もうすでに完成されているように感じられる。短編「中国行きのスロウ・ボート」の悲哀は…

カンガルー日和

『カンガルー日和』(村上春樹) <講談社文庫> 読了。 17の掌編と一つの短編集。あとがきには「23編」と書かれているので、文庫落ちするときに5編が除かれたようだ。掌編とはいえ、村上ワールドいっぱいの作品ばかりなので、結構お腹いっぱい。短編は「図書館…

泥の河・螢川・道頓堀川

『泥の河・螢川・道頓堀川』(宮本輝) <ちくま文庫> 読了。 「泥の河」は子供の頃映画で観てトラウマになってしまった作品。読むのに勇気が要ったが、こんなにいい作品だったとは!子供の視点と大人の視点がうまく入り混じり、何とも言えない心地よい悲哀を感…

うたかた/サンクチュアリ

『うたかた/サンクチュアリ』(吉本ばなな) <新潮文庫> 読了。 久しぶりのばなな作品だったので、最初はなかなかとっつき難かったのだが、馴染んでくると、彼女独特の表現が非常に心地よく、楽しく読むことができた。この表現力は本当に「ありそうでない」よ…