本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

悪意の手記

『悪意の手記』(中村文則) <新潮文庫> 読了。総ページ数190の短編ですが、読むのに三日かかった。 厚くてもすぐ読める作品もあれば、薄くても時間のかかる作品もあるものだ。正直、この作品はうまく消化しきれていない。自分の中に取り込むには、かなり長い…

太宰治全集3

『太宰治全集3』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。全集を読んでいると、「走れメロス」のような作品がかなり異色であることがわかる。「畜犬談」はユーモラスな中に、ほろっとさせる作品。太宰が嫌いな方にもおすすめだ。「駈込み訴え」は緊迫感あふれる作品。…

終の住処

『終の住処』(磯崎憲一郎) <新潮文庫> 読了。「終の住処」と「ペナント」の二短編が収録されている。デヴィッド・リンチの映画を観たかのような読感だった。実は、「終の住処」を読んだときはうまくとらえることができず、ただただ困惑していたのだが、「ペ…

土の中の子供

『土の中の子供』(中村文則) <新潮文庫> 読了。コテンパンに打ちのめされた。ものすごい作品!この小説に比べたら、世に出回っている大半の小説はヤワい。本当に、中村文則の作品に出会えて良かったと思った。 土の中の子供 (新潮文庫) 中村 文則 新潮社 Ama…

太宰治全集2

『太宰治全集2』(太宰治) <ちくま文庫> 読了。「創世記」や「喝采」は何を言いたいのかさっぱり分からなかったが、それでも言葉の選び方や配置、文章のリズムで読ませるところはすごいと思った。特に良かったのは「富嶽百景」。富士山を中心に、主人公の日…