本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

芥川龍之介全集6

芥川龍之介全集6』(芥川龍之介) <ちくま文庫>読了。

「ぼんやりした不安」を感じて自殺したのは有名な話だが、「歯車」などを読むと、結構はっきりした不安のようにも思われた。

全集6の前半では、どこか「死」を幻想的でメルヘンチックなとらえ方をしているように読めるが、「幻鶴山房」ではがらっと様相を変え、「たね子の憂鬱」からは不気味に描かれ出し、「歯車」からは死を前にただただ憂鬱ばかりが漂ってくる。

しかし、それでも「歯車」は傑作である。
おそらく、芥川龍之介の中で好きな作品は、と問われれば、「地獄変」派と「歯車」派に大別されるのではないだろうか。

「或シナリオ」と副題された「誘惑」「浅草公園」はシュルレアリスティックで一風変わった作品だ。
シュルレアリスムの好きな方はぜひ。

これで私の「芥川龍之介全集」は終わり。

 

<収録作品>

 

・温泉だより
・海のほとり
・尼堤
・死後
・湖南の扇
・年末の一日
カルメン
・三つのなぜ
・春の夜
点鬼簿
・悠々荘
・彼
・彼 第二
・玄鶴山房
・蜃気楼
・河童
・誘惑
浅草公園
・たね子の憂鬱
・古千屋
・冬
・手紙
・三つの窓
・歯車
・闇中問答
・夢
或阿呆の一生