『雪沼とその周辺』(堀江敏幸) <新潮文庫> 読了です。
雪沼という山間部の町を舞台にした七つの短編集です。
心を揺さぶられる作品もいくつかありますが、ほとんどは淡々と日常が語られているだけです。
それにもかかわらず、登場人物には深く共感でき、その日常を共に楽しむことができます。
以前読んだ『熊の敷石』と作風はまったく変わりませんが、一作一作を丹念に読んでしまいます。
堀江敏幸の作品は、すっきりとしつつもやや癖のある文体が気持ちいいです。
「何気ない日常」「読ませる文体」がお好きな方にはぜひともおすすめしたいです。
<収録>
スタンス・ドット
イラクサの庭
河岸段丘
送り火
レンガを積む
ピラニア
緩斜面