本とパズルのブログ

人生は一冊の本である。人生は一つのパズルである。

江戸川乱歩全集第3巻 陰獣

江戸川乱歩全集第3巻 陰獣』(江戸川乱歩) <光文社文庫> 読了です。

3巻にきて、ようやく江戸川乱歩が書きたかったものを書けているのかな、という印象を受けました。

「陰獣」や「芋虫」といったよく知られた乱歩作品のみならず、「踊る一寸法師」「人でなしの恋」「鏡地獄」といった傑作も収録されています。

解説の新保博久は「ただけない」とのことでしたが、私は「覆面の舞踏者」もおもしろく読めました。

そしてなによりも、「木馬は廻る」という作品を江戸川乱歩が書いていたことに驚きました。
およそ乱歩作品らしからぬ人生の悲哀を描いた作品で、私はこういうのは大好きです。

もし最初に江戸川乱歩をおすすめするなら、この「第3巻」をおすすめしたいです。
ただし、「空中紳士」を除いてですが……。

【収録作品】

踊る一寸法師
毒草
覆面の舞踏者
灰神楽
火星の運河
五階の窓
モノグラム
お勢登場
人でなしの恋
鏡地獄
木馬は廻る
空中紳士
陰獣
芋虫