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明智小五郎探偵ものの長編二編が収録されています。
解説にも書かれている通り「謎解き」が問われている時代ではなく、冒険活劇と舞台のおどろおどろしさを楽しむ作品なんだろうな、と思います。
「魔術師」のネタはツッコミどころも満載ですが、そういう意味では正しい「探偵小説」なのでしょう。
そして、それでも「吸血鬼」はなかなか楽しめる作品でした。
両国の捕物シーンはただただバタバタしているだけですが、それ以外は雰囲気もあって現代でも十分読める作品ではないでしょうか。
ところで、P548に、犯人からの脅迫状を「三度目ですよ」と明智小五郎が言うシーンがありますが、四度目ではないでしょうか。
当然ファンの間では気づいているとは思いますが、註釈もなかったので、どう解釈すればいいかわかりませんでした。
<一度目>
P368
三谷が明智に依頼したとき
<二度目>
P392
アトリエ捜索のとき
<三度目>
P483
恒川と明智が事件を話し合っていたとき
<四度目>
P548
墓地を捜索していたとき
【収録】
魔術師
吸血鬼